高くなった円のため、日本人の労働コストは、世界一高くなりました。専門技術者でも、日本人技術者の労働コストは、米国人技術者よりも30パーセント程度高くなりました。これは、当時、米国では技術者が人件費の安い若い世代に切り替わっていたこと、日本では40歳代後半のベビーブーム世代が中心になっていたことが大きく影響していたと言えます。さらに、高齢化しつつあったベビーブーム世代の人々は、1980年代ほど密度高く仕事に従事することができなくなっていて、生産性が落ち始めていたことも関係していると言えます。それでも日本企業は、全体での人件費を抑えるため、若年層の新入社員を新規採用することを抑えました。結果としてこのことは、次世代の企業を担う若手人材の育成に問題が発生するため、日本企業の業績を悪化させました。このことによって起こった経済の後退を「失われた10年」と呼びます。
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